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【前編】「フォトアーカイブ」プロジェクト関連トークイベント「nakano talk」開催レポート
2023.03.09

【前編】「フォトアーカイブ」プロジェクト関連トークイベント「nakano talk」開催レポート

惜しまれながら閉館する中野サンプラザの姿を、未来に残す企画「フォトアーカイブ」プロジェクトとして、中野サンプラザのさまざまな場面の写真を貼り合わせた大きな写真作品を制作するための撮影が始まっています
作品アーティストとして依頼した、写真家 西野壮平さんによって、閉館予定の2023年7月中まで撮影が行われています。

今回、中野サンプラザを実際に使っている、また使っていた皆さんの様子の撮影を進めていくための関連トークイベント「nakano talk」を開催いたしました。

「nakano talk」開催概要

■ 日程:2023年2月16日(木)19:00〜20:30
■ 会場:中野サンプラザ8階研修室2
■ 主催:中野サンプラザシティエリアマネジメント準備会
■ゲスト:ゲスト:写真家 西野 壮平氏(にしの•そうへい)
■インタビュアー:山野辺 賢治氏(やまのべ•けんじ)
 /中野サンプラザシティエリアマネジメント準備会・野村不動産株式会社 企画推進部

1、山野辺氏:自己紹介と概要のご案内
2、西野氏:自己紹介とこれまでの作品について
※下記は後編の記事にて掲載いたします。
3、今回の制作についてのトークセッション
4、会場の皆さまからの質疑応答

写真左:ゲスト 西野氏 右:山野辺氏

1、「フォトアーカイブ」プロジェクトについて

中野サンプラザをどう残し継承していくかを模索

まず始めにインタビュアーの山野辺氏から自己紹介と、中野サンプラザの閉館や「フォトアーカイブ」プロジェクトついて説明。山野辺氏は本イベントの主催である「中野サンプラザシティエリアマネジメント」の構成員でもあり野村不動産株式会社に所属されています。7月2日に迫る中野サンプラザ閉館と中野駅周辺の再開発について共有を行いながら、中野サンプラザのDNAをどう継承していくかという課題について話していただきました。

山野辺氏「模索をする中で、2021年に区民の方にも参加をしてもらうワークショップを行っています。我々事業者としても途中から来たものですので、残したい中野サンプラザのDNA・中野駅周辺の記憶をテーマに、中野の歴史や経験などのたくさんの意見やアイデアをいただきました

山野辺氏の熱い想いで西野氏との制作が実現

山野辺氏「実際に何をしてどう残していくか答えが出ずに悩んでいたところに助けられたのが「情熱大陸」というテレビ番組でした。ちょうど2022年の2月に西野氏のドキュメンタリーが放送されて、興奮して三日ほど寝られなくなりましたね。都市や山を作品にされていると知り、中野サンプラザもひとつの「都市空間」だと考えましたアポなしで個展に伺い西野氏に企画を話し、中野に実際に来ていただき案内を行うところまでなんとか漕ぎ着けました。その後関係事業者や様々な方のご理解、ご協力を得ることができこのプロジェクトを立ち上げることができたと思っています」

2、西野氏によるトーク

2020年に製作した「Beppu」

西野氏「閉館に伴いアート作品を残せないか、というお話を個展の際にいただき、最初は少し怖いくらいの勢いでしたが。ものすごく熱意を感じました。そこから改めて中野を案内いただき、やってみたいと思うようになりましたね」

続いて西野氏から、写真を何万枚と撮影し手作業でコラージュをして作品を作り上げる手法についてや、これまでに制作した作品を見ながら説明をしていただきました。

何万枚もの写真を撮影してコラージュする作品

拡大してみると別府の温泉に入っている人々が

西野氏「2003年頃の大学在学中からこういった作品を制作しています。こちらは2020年に制作した『Beppu』ですが、遠くから見ると航空写真のような地図のような、正直よくわからないと思います。そこでぐっと寄って見ていただくと、温泉に入っている方々や湯煙などが写っています。許可をいただいて実際に男湯に入って写真を撮られてもらいました。1ヶ月半ほど歩いて別府の温泉を巡り、温泉にも入りながら撮影の交渉をしていきました」

四国をお遍路で歩いたことがきっかけに

写真を始める前から絵を描くことが好きで、デッサンなどもしていたという西野氏。高校生の時に四国のお遍路を体験したことがきっかけで写真をはじめたそうです。

西野氏「歩くことで世界が変わっていく。歩けば歩くほど自分がその世界を獲得できるような気分になって写真を勉強しようと決め、大学で学びました。最初は一枚ものの写真も撮っていましたがしっくりこず、写真を絵の具のようにして絵を描いていくような手法にしていきました」

過去の作品制作風景

4〜5ヶ月間をかける作品制作のプロセス

西野氏「7年前から静岡県の西伊豆にアトリエをかまえて、広い場所での作品制作をしています。貼り合わせるのに約1ヶ月、撮影期間を含めると一点の制作に4〜5ヶ月間がかかっているので、僕の場合は1年間に2〜3点しか制作ができないような作品作りです」

1、フィルムカメラで撮影を行う(約1ヶ月間)
2、全てコンタクトシートと呼ばれるシートにプリントし、一枚が4〜5cmに
3、一枚一枚切る
4、手作業で大きなキャンバスに張り合わせていく

西野氏「パソコンを使ってデジタルに制作することも可能だとは思いますが、この手作業のプロセスが、その場にいた経験を巻き戻すという役割をもっており、非効率ではありながらも非常に大事な過程になっています。取捨選択をしていくのではなく、撮った枚数がそのまま作品になっていきます」

「mapping the world」という考え方

西野氏「多視点という考え方が非常に大事だと思っています。一つのものを見る際に、真正面や上、さまざまな角度から見て世界を「mapping」していく。例えば東京の地図を思い描いていただいた時に、Googleマップのような正確な地図が頭に浮かばないと思います。実際に住んだことのあるエリアや思い出の場所によって頭の中に『地図』が作られていく、強調された記憶やイメージが頭の中で重なって一つの地図ができるのだと考えています。それを経験や記憶の集積だと捉え、まさにそういった作品を作っています」

縦幅が4〜5メートルある作品「Mountain Line ” FUJI”」2021

これまでに約20都市を制作

西野氏「東京に関しては2004年、2014年にも制作しました。2024年にも制作予定です。東京など特定の都市の捉え方を比較していくのもおもしろいと思っています。その他海外ではニューヨーク、ロンドン、リオデジャネイロ、イスタンブールなど、約20都市の制作を行ってきました。ヨハネスブルクについては到着して4日後に追い剥ぎに遭ってしまったのですが、そういった経験や思い出などいろいろなものが蓄積してできています。ぜひ実際の作品を近くで見ていただけると嬉しいですね」

拡大すると見えてくる、富士山の火祭りの部分

その土地の歴史や人々の様子も捉える

西野氏「富士山の作品に関しても他視点で捉え、富士山に向かう人達がどういったものを食べているのかなどいろいろなことに興味を持ちます。サンタクロースの格好で登山をしている方や登山者が道中で食べたもの、周辺の歴史がわかる祭や地形、麓の町の様子など。その山だけでなく周囲の風景も一緒に画面に入れるような感覚で、自分の興味のままに広範囲に富士山を捉えて制作をしています」

中野サンプラザで働く方々も撮影

中野サンプラザを中心に撮影を始めています

西野氏「中野サンプラザを中心に、撮影の協力をお願いし撮影を始めています。そこで働く人だけでなくデスクにあるものも撮ってみたりとその人を表す周辺のものも含めて撮っていきたいと思っています。皆さんの思い出は外観だけではなく、仕事上でずっと使っていた道具など、必ずしもその中心ではない要素も、重要なアーカイブになると思って取り組んでいます。7月まで撮影を行う予定をしており、中野サンプラザの思い出を持った方々をできるだけ多く撮影していきたいと思っております」

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トークセッションなどの様子は後半記事でお伝えしていきます。

お問い合わせ・ご協力のお申し出について

作品「Mountain Line ” FUJI”」/写真を張り合わせていく様子

中野サンプラザ「フォトアーカイブ」プロジェクトは、中野サンプラザシティエリアマネジメント準備会により実施しています。
ご関心・ご協力の可能性がございましたら、お問い合わせフォームからぜひご連絡ください。

お問い合わせフォーム


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