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中野サンプラザフォトアーカイブプロジェクト~City of Nakano Sunplaza~


中野サンプラザフォトアーカイブプロジェクト~City of Nakano Sunplaza~

■フォトアーカイブプロジェクト作品展示会
▸2024年5月18日(土)∼6月9日(日)
中野新区庁舎1F  ナカノバ

▸2024年6月11日(火)∼
なかのZERO 2階大ホール
⇒中野区新庁舎1F NYACAFEに移転します。

中野新区庁舎 1Fナカノバ

■作品の背景

2023年1月 閉館が決まっていた中野サンプラザの姿を未来に残す企画「フォトアーカイブ」プロジェクトを開始。2023年7月の閉館までの約半年、中野サンプラザの「ハレ」と「ケ」、そして「表」と「裏」のすべてを西野壮平さんに撮影いただきました。撮影枚数は3万枚を超え、その写真をすべてつなぎ合わせ、一つの作品としました。

■中野サンプラザとは何か

「中野の街のシンボル」という言葉には簡単に説明できない奥深さがあるように思います。

さながら一つの都市で展開されているかのような多様な活動がアイコニックな三角形の建物の中で何重にも集積してきた場所なのではないでしょうか。

音楽コンサートや記念日の食事といった「ハレ」の日だけではなく、趣味などの日常生活の一部にもなる「ケ」の場所としても中野の人々に愛されてきた中野サンプラザ。そして、その利用者たちの「裏」には中野サンプラザでの多様な活動を支える多くのスタッフの姿がありました。

「ハレ」と「ケ」が共存する場所であると同時に、「表」と「裏」の双方に多様で多数な人々の思い出が蓄積され、その思い出や記憶が約半世紀の時をかけて深みへと変わっていく場所。それが中野サンプラザではないでしょうか。

■一つのアート作品として残すこと

そうした多様な記憶が詰まったこの場所で展開されてきた活動を一つずつ紐解き、丁寧に追いかけることで中野サンプラザが積み重ねてきた人々の記憶と繋がることができるではないか。

そして中野サンプラザがひとつの建物で繰り広げられていたように、ひとつの作品として表現することで「中野サンプラザとは何か」という大きなテーマに答えることができるのではないか。

中野サンプラザを一つの作品として残すことの価値があると信じていた時、私たちは都市の多様性と複雑さを独自の視点で捉えて作品とする西野さんを知りました。

■構想

2022年2月、当時個展が開かれていた品川にあるキャノンギャラリーにアポなしで訪問。そこで担当の山野辺から西野さんへ想いを伝えたことからこのフォトアーカイブプロジェクトが始まりました。

しかしながら、西野さんはこれまで、都市や山といった巨大なテーマに旅を通して作品を作ってきたことから、ひとつの建物である中野サンプラザをテーマにすることが可能なのか、閉館前とはいえ、運営中の中野サンプラザで撮影許諾を整理できるのかなど様々な課題を整理しました。更に西野さんと中野サンプラザや周辺地域を歩き続け、アーカイブの意義が見えてきたタイミングでプロジェクトに取り組むことが決定しました。

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西野さん作品「Mountain Line “Fuji”」

西野さん作品「別府温泉世界地図」

■撮影

2023年1月に撮影を開始。中野サンプラザを利用されている方々、運営している方々など様々な「人」に着目した撮影を行いました。中野サンモール商店街の上から中野サンプラザを捉えた撮影。カーペットや樹木の影に差し込む木漏れ日などのようなディテールの撮影など様々な角度から中野サンプラザを捉え、撮影枚数は優に3万枚を超えました。

高層ビルからの撮影

サンモール商店街の上から撮影

中野サンプラザを利用する「人」の撮影

■作品制作

中野サンプラザが閉館し、撮影が終わった2023年7月より写真を繋ぎ合わせるための検討を開始。「どう繋ぎ合わせればひとつの作品として中野サンプラザを表現できるか」という最大の課題に直面し、様々な検討を行いました。50年前に描かれた断面図をモチーフに表現するか、俯瞰したような姿で表現するかといった構成から、カラーかモノクロか、青図のような統一した色味がいいかなど様々な観点から検討しました。色々と悩み切った結果、最終的には、中野サンプラザが街と溶け合い、支え合う中野の街のような1枚になりました。

中野サンプラザは中野の街の人々に愛されてきただけではなく、その愛され方の多様さが人々を惹きつける魅力であり、中野サンプラザの姿そのものなのではないでしょうか。その姿から「City of SUNPLAZA」というタイトルの元、作品が完成しました。

構想中のアイデア

制作中の様子(全体はyoutubeにて:https://youtu.be/topo_ixi-C8

■最後に

中野サンプラザが多くの方々に愛されたように、サンプラザに関わっていた方々、区民の方々にこの「City of Nakano Sunplaza」を愛してほしいです。作品をじーっと見ていると、色々な思い出が頭を巡ってきます。その思い出は見る人によって違うものなので、多くの方々に楽しんでほしいと思っております。そして中野サンプラザの良さがこれからも続いていってほしいと思っております。

作品ディテール「中野サンプラザで働く人」

作品ディテール「中野のまちの様子」

完成作品

■西野壮平氏

写真家 西野壮平氏

1982年、兵庫生まれ。大阪芸術大学写真学科を2004年に卒業、その後活動の拠点を静岡で制作活動を行っている。2013年日本写真協会新人賞、Foam Talents Call 2013、2016年さがみはら写真新人奨励賞。2018年MAST Foundation Photography Grant受賞、2020年岡本太郎芸術賞入賞。

主な展示にDAEGU PHOTO ビエンナーレ(2010年・大邱、韓国)、日本の新進作家展vol.10(2012年・東京都写真美術館)、フェスティバル Images Vevey (2012年・ヴェヴェイ、スイス)Of Walking グループ展(2013年・Museum of Contemporary Photography, シカゴ)「New Work: Sohei Nishino Exhibition」個展(2016年・サンフランシスコ近代美術館、アメリカ)等がある。

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